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制作会社の選び方|発注後に後悔しないための8つの視点
ホームページをリニューアルしたい。会社案内をつくり直したい。映像を制作したい。ブランドそのものを見直したい。そう考えて制作会社を探し始めると、想像以上に多くの選択肢が出てきます。
制作会社、デザイン事務所、広告代理店、フリーランス。見積金額も数十万円から数千万円まで大きく異なります。この記事では、「制作会社だから安心」「フリーランスだから不安」という単純な比較ではなく、発注後の後悔を減らすための8つの視点を制作側からまとめます。大切なのは、自社が実現したいことに最も適したパートナーを選ぶことです。
01 フリーランスと制作会社の違いを理解する フリーランスと制作会社の違いを理解する
ROLE & SCALE
フリーランス
専門性と意思決定の速さを活かしやすい選択肢です。
- STRENGTH
- 直接やり取りでき、柔軟に進めやすい
- FIT
- 小規模なWebサイト、撮影、デザイン制作
- CHECK
- 一人に依存するリスクと継続体制
制作会社
複数の専門家を組み合わせ、組織として進める選択肢です。
- STRENGTH
- 専門領域を横断し、体制を組みやすい
- FIT
- 複数部署が関わる、一定規模以上の案件
- CHECK
- 費用と、実際の担当メンバー
まず理解しておきたいのが、フリーランスと制作会社では、そもそも得意とする仕事の規模や進め方が異なるということです。
フリーランスの大きな魅力は、意思決定の速さや柔軟性です。担当する本人と直接コミュニケーションが取れるため話が早く、制作会社と比べて管理コストが少ない分、予算を抑えられるケースもあります。Webデザイン、映像、写真、コピーライティングなど、特定領域に非常に高い専門性を持ったフリーランスも少なくありません。小規模なWebサイトや撮影、デザイン制作では、制作会社より適していることも十分にあります。
一方で確認しておきたいのが、その人一人に依存するリスクです。体調不良や繁忙期にも対応できるのか。デザイン以外の領域が必要になった場合はどうするのか。数年後も運用をお願いできるのか。情報管理や契約、セキュリティ体制はどうなっているのか。フリーランスの場合、良くも悪くも「その人の能力=提供できるサービス」になりやすい特徴があります。
制作会社は、ディレクター、デザイナー、エンジニア、コピーライター、カメラマンなど、複数の専門家を組み合わせられることが強みです。その分費用は上がりやすいものの、プロジェクト管理やバックアップ体制、継続的な運用という面では組織として対応しやすくなります。
どちらが優れているのではなく、今回のプロジェクトに必要な規模と責任範囲を考えることが重要です。特に一定規模以上の企業で複数部署が関係する場合は、経営層、広報、採用、営業、情報システム、法務、撮影、開発など、多くの関係者をまとめてプロジェクトを成立させる力が求められます。
02 所在地や知名度ではなく、現在の仕事を見る 所在地や知名度ではなく、現在の仕事を見る
地方企業から相談をいただく中で意外と多いのが、「昔からお願いしているから」「近くにある会社だから」「地域では有名だから」という理由で制作会社が決まっているケースです。長年の関係性や地域への理解は大きな価値ですが、それと現在のクリエイティブ品質は必ずしも同じではありません。
地域によっては、表現方法や制作手法が数年前からあまり更新されていなくても、既存顧客との強い関係性によってビジネスが成立している会社もあります。逆に、東京の会社だから優れているということでもありません。
重要なのは、「どこにある会社か」ではなく「今、どんな仕事をしている会社なのか」。制作実績や考え方を見て、現在の自社に必要な力を持っているかを判断することが大切です。
03 実績の数より、表現の幅を見る 実績の数より、表現の幅を見る
制作会社を選ぶとき、多くの人が最初に見るのが実績です。もちろん重要ですが、「制作実績500社」「創業20年」「年間100サイト制作」といった数字だけでは、その会社が自社に合うかどうかは分かりません。ぜひ見てほしいのが、どのくらい表現の幅を持っているかです。
住宅会社も、飲食店も、製造業も、採用サイトも、すべて同じようなデザインになっている場合、その会社が得意とするデザインをクライアントへ当てはめている可能性があります。
一方で、ある企業では重厚感のある表現、あるブランドではポップで親しみやすい表現、ある採用サイトでは若々しい表現、あるホテルでは静かで上質な表現というように、案件によってアウトプットが大きく変わる会社もあります。そこには、「自分たちが何をつくりたいか」ではなく、「クライアントに何が必要なのか」を考えている姿勢が表れます。
制作会社の好きなテイストを見るだけでなく、案件に応じて表現を変えられるかを見る。これは非常に重要な判断基準です。
04 完成形だけでなく、デザインの理由とプロセスを見る 完成形だけでなく、デザインの理由とプロセスを見る
実績を見るとき、もう一つ確認したいのが「なぜこのデザインになったのか」です。Webサイトを見て、「かっこいい」「おしゃれ」「映像が綺麗」と感じることはもちろん大切です。しかし、企業のクリエイティブは作品ではなく、目的があります。
誰に届けるのか。何を伝えるのか。どんな印象を持ってほしいのか。その結果、どんな行動につなげたいのか。優れた制作会社は、「なんとなく格好いいから」という理由だけでデザインを決めません。課題、ターゲット、競合、ブランド、事業戦略などを整理したうえで、「だから、この表現にしました」と説明できます。
完成したアウトプットだけではなく、その裏側にあるPROCESS(プロセス)も確認してください。実績紹介に「何を制作したか」だけでなく、「なぜ制作したか」「どんな課題があったか」「どう考えたか」まで書かれている会社は、一つの判断材料になります。
05 同業実績だけを理由に決めない 同業実績だけを理由に決めない
制作会社へ問い合わせる際、「弊社と同業の実績はありますか?」と聞くことは珍しくありません。業界理解があることは大きな安心材料です。専門用語や商習慣、顧客層を理解していれば、プロジェクトもスムーズに進みやすくなります。
ただし、同業実績だけを基準に決めると、新しい表現が生まれにくくなることもあります。例えば住宅業界に特化した制作会社へ依頼した結果、競合他社でも見たことのある写真、コピー、Webサイトになってしまうことがあります。
一方で、ホテルのホスピタリティ、アパレルの世界観、自動車ブランドの高級感、IT企業のUI、飲食店の体験設計など、異業種の知見を組み合わせることで新しい表現が生まれることもあります。
同業実績は安心材料の一つ。ただし、それだけを理由に決めない。「この会社なら、自社を今までとは違う角度から見てくれそうか」という視点も持ってみてください。
06 実際に誰が担当するのかを確認する 実際に誰が担当するのかを確認する
WHO MAKES THE WORK
会社名・実績
相談のきっかけになる、大切な判断材料です。
- SEE
- 過去の制作物と考え方
- ASK
- 実績に関わったチーム
今回の担当者
実際の品質と進行を左右する、直接のパートナーです。
- SEE
- 管理・デザイン・撮影の担当範囲
- ASK
- 最終品質を誰が担保するか
制作会社のWebサイトに掲載されている実績が素晴らしくても、その仕事を担当した人が今回も担当してくれるとは限りません。制作会社が大きくなるほど、営業、プロデューサー、ディレクター、デザイナーが分かれていることも多くあります。契約前には代表やトップクリエイターが参加していたのに、プロジェクト開始後は別の担当者に変わるケースもあります。
そのため契約前に、「今回のプロジェクトを、実際に誰が担当しますか?」と確認することをおすすめします。誰がプロジェクト全体を管理するのか。誰がデザインするのか。誰が撮影するのか。誰が最終的な品質を担保するのか。
制作物の品質は「会社名」ではなく、プロジェクトに参加する人によって決まります。
07 見積金額ではなく、含まれる仕事を比較する 見積金額ではなく、含まれる仕事を比較する
制作会社を数社比較すると、見積金額に大きな差が出ることがあります。例えばA社150万円、B社300万円、C社500万円。数字だけを見ればA社が圧倒的に安く見えます。
しかし、A社は指定された内容をデザインする会社、B社は企画・撮影・デザインまで行う会社、C社はブランド戦略・企画・コピー・撮影・制作・公開後の運用まで支援する会社だとしたら、そもそも比較している商品が違います。
制作費には、戦略設計、企画、ディレクション、デザイン、コピーライティング、写真撮影、映像制作、開発、プロジェクト管理、運用など、さまざまな仕事が含まれます。そのため、「いくらなのか」よりも「何に対して支払うのか」を見ることが重要です。
もちろん、高いから良いわけではありません。逆に極端に安い場合も、テンプレートを利用する、ディレクション工程を省く、撮影を含めない、修正回数を限定するといった合理的な理由がある場合があります。大切なのは、「なぜこの金額なのかを説明できるか」です。
08 初回打ち合わせの質問力と相性を見る 初回打ち合わせの質問力と相性を見る
FIRST MEETING
制作の指示を聞く質問
必要なページ数や色、好みのサイトを確認する。
- FOCUS
- つくるものの条件
背景を理解する質問
なぜ今なのか、誰に選ばれたいのかを掘り下げる。
- FOCUS
- 事業やブランドが抱える課題
制作会社選びで、私たちが特に重要だと考えているのが初回打ち合わせです。制作会社から「何ページ必要ですか?」「好きなサイトを教えてください」「何色にしたいですか?」といった質問だけをされた場合、その会社は依頼されたものを制作することに強い会社かもしれません。
一方で、「なぜ今回リニューアルするのですか?」「いま最も困っていることは何ですか?」「誰から選ばれたいですか?」「競合とは何が違いますか?」「3年後、会社をどうしていたいですか?」と聞く会社もあります。後者は制作物そのものではなく、その背景にある課題を理解しようとしています。
こちらから細かく指示を出すのではなく提案してほしいと考えているなら、制作会社の質問力を見てください。そして最後は相性も大切です。制作プロジェクトは数か月から、長ければ数年にわたることもあります。
言われたことを何でも受け入れてくれる会社が、必ずしも良いパートナーとは限りません。必要であれば「その方法はおすすめしません」と言ってくれる。自社とは違う視点から意見を伝えてくれる。それでも一緒に気持ちよく仕事ができる。そんな関係をつくれる相手かどうかも考えてみてください。
09 制作会社を比較するときのチェックリスト 制作会社を比較するときのチェックリスト
BEFORE YOU DECIDE
- 実績の数だけでなく、内容を確認したか
- 案件によって表現を変えられる会社か
- デザインの理由を説明できるか
- 同業実績だけで判断していないか
- 実際に担当するメンバーを確認したか
- 制作後の運用まで考えているか
- 見積の金額ではなく内容を比較したか
- 自社について深く質問してくれるか
- プロジェクトを管理できる体制があるか
- 長期的に付き合える相手だと感じるか
最後に、制作会社を比較する際のポイントをまとめます。
すべてを満たす制作会社でなければいけない、ということではありません。案件によって必要なものは異なります。10万円の撮影と1,000万円規模のリブランディングでは、求める体制も当然違います。
10 制作会社は、単なる発注先ではなくパートナー 制作会社は、単なる発注先ではなくパートナー
だからこそ、「何を制作してもらいたいのか」ではなく、「何を実現したいのか」を最初に考えてみてください。
フリーランスにも素晴らしいクリエイターはたくさんいます。制作会社だから安心というわけでもありません。大手だから良い、地方だから悪いということでもありません。重要なのは、会社の規模や知名度ではなく、今回のプロジェクトに必要な能力・体制・考え方を持っているか。そして、制作物を納品することだけを目的とせず、その先にある成果まで一緒に考えられる相手かどうかです。
制作会社は、単なる発注先ではありません。数か月、時には数年にわたり、自社について考え、一緒に悩み、形にしていくパートナーになります。だからこそ、価格や知名度だけで急いで決める必要はありません。いくつかの会社と実際に話し、それぞれの実績や考え方、提案、そして担当する人を見てから選んでみてください。
その一手間が、制作後の「こんなはずではなかった」を減らすことにつながるはずです。